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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.94


2023年 9月号


発行責任 NPO法人かわさき技術士センター

「ポストコロナにおける中小・小規模企業の生き残り戦略とは」
  技術士(化学部門) 佐々木 久美

【 総論 】 新型コロナや物価高騰など、中小企業・小規模事業者は引き続き厳しい環境にあります。 先般、2023年度中小企業白書・小規模白書が公表されました。この白書は国が中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境や事業者による経営実態の分析を基に、今後の展望と施策を論じるものです。前年度と今年度の白書では、一貫して価値創出の実現と新たな担い手の創出に向け、戦略については競合他社と異なる価値創出のあり方を反映させて差別化を図ることが重要であるとしています。
【 事業環境の変化と中小企業の取組 】
 感染症や脱炭素化などの社会構造変化の中で、公的補助金を有効に活用しつつ、事業再構築に取り組む中小企業が着実に増加しつつあるようです。 この状況変化を背景に、脱炭素化を好機と捉えてCO2排出量の把握やイノベーションに取り組んでいる中小企業が一定割合で存在しています。
 そこで、環境対策を専門とする技術士の中には、顧客企業と連携して脱炭素化技術の開発に積極的に取り組んでいる技術士グループが存在します。 そこで、脱炭素化技術の開発と実証実験を通じて、公的組織・機関へのアピールに注力されている企業は、環境対策を専門とする技術士グループ (「かわさき技術士センター」:巻末をご参照下さい)に遠慮なくお声掛け下さい。
【 成長に向けた価値創出の実現 】
 ポストコロナにおける新たなものづくりを通じた価値創出戦略を構築して、差別化された価値創出を着実に実現して行くためには、 競合他社と異なる価値創出のあり方を反映した戦略構築と愚直な 試行錯誤による差別化を図ることが企業の成長に繋がるとされています。
【 経営者を支える内部人材と体制 】
 差別化した価値創出を継続的に実現していくためには、中小企業の経営者を支える内部人材と体制の充実も重要です。 その意味において、事業承継とM&Aは経営資源の散逸を防ぐと同時に、経営者の世代交代を通じた企業変革の好機でもあり、 若い後継者ほど、新しい商品・サービスの提供を通じて、事業再構築に積極的に取り組む姿勢が感じられます。
【 新たな経営者層の創出と課題 】
 上記した様に、事業承継やM&Aは経営資源の散逸を防ぐと共に、企業変革の絶好機でもあり、 若い経営者ほど積極的に事業再構築に取り組む傾向があります。 後継者の内、先代経営者から経営に関する意思決定が任されているほど、 新たな取り組みに挑戦する傾向があります。 この様な事業承継・M&Aをスムーズに進めるには、内部人材だけでなく、 中小企業診断士・税理士や企業の保有技術価値評価に通じた技術士など 外部人材の知恵と協力を得ることが近道ですので、是非共お声掛け下さい。

「EV(電気自動車)シフトの現状」
 技術士(電気電子部門)黒田 雄一

 トヨタは、今年4-6月期の連結営業利益(四半期)が初めて1兆円を超えたと発表しました。 ハイブリッド車や高級ブランド車の売上好調が主な要因とのことです。 その一方、自動車の電動化(EV化)へのシフトが全世界で急速に進みつつある中で、日本の存在感は高いとはいえません。 日本の産業界における自動車産業の比重の大きさや裾野の広さを考えるとき、この点は見落とせません。
 国際エネルギー機関(IEA)が公表した全世界のEV供給台数の2018-22年の推移を図1に示します。 注目されるのは、最近5年間の台数ベースの伸びが約5倍と急速である点に加えて、 中国のシェアが半数を超える点です。 中国では2018年以降、新エネ車購入の免税、大都市圏におけるナンバープレート取得条件の優遇、 公共交通分野での新エネ商用車の導入拡大などの政策でEV化を後押ししました。 欧州でも、厳しい環境規制と新エネ車購入補助金等優遇策のセットで、EV化を進めています。 これら海外諸国では、フル電動化のバッテリーEV(BEV)が中心です。
 その一方、日本のシェアは図1の「その他」の一部に過ぎない低いレベルです。 メーカー別では1位が米テスラ社、2位が中国BYD社で、上位20社に日本車メーカーは入りません。 日本車メーカーは早くからガソリンエンジンを併用する ハイブリッドEV(HEV)に注力してきましたが、 フル電動化にはどちらかといえば消極的でした。
 その背景には、表2に示すように電動化による部品点数 の大幅削減が国内自動車産業へ打撃を与えるという懸念も あったようです。しかし、海外におけるBEVの普及が 予想を超えて早く進み、フル電動化での日本の出遅れを 危ぶむ見方も生まれており、今後の動向を注視して対応を 考える必要がありそうです。


お役立ち最新情報

[技術士によるセミナー] (現場経験に基づくホットな内容)

◇2023年度「KIIP公益法人川崎市産業振興財団」との共催(技術)セミナー開催企画のご案内

今年度は下記の2テーマについての開催を予定しております。

第1回:「モノづくり現場での材料ロスの見える化と情報開示への準備」 ~カーボンニュートラルの流れを見据えた現場対応~」 10月18日(水)

第2回:「リチウム二次電池とこれからの蓄電技術」  11月15日(水)

場所:オンライン(14:00~16:00/講義90分、質問30分)

多くの皆様に、ぜひ、ご参加・ご活用頂きたく、よろしくお願いいたします。

[支援事業] (申込先:川崎市中小企業サポートセンター)

ワンデイ・コンサルティング
(無料)
原則随時です 企業に出向き緊急の課題を支援します。最大3回可能です。
専門家派遣 (有料) 募集があります 費用は半額企業負担です。課題に対し最大12回の継続支援。
川崎市中小企業サポートセンターとは
中小企業を応援する総合的な支援機関で、主な支援事業は次のとおりです。
★総合相談窓口 ★専門家相談窓口 ★人材育成セミナー ★専門家派遣事業
★かわさき企業家オーディション ビジネス・アイディアシーズ市場」
TEL:044-548-4141 FAX: 044-548-4146 URL: http://www.kawasaki-net.ne.jp/
2023 年 9月 1日発行  発行責任者:NPO法人 かわさき技術士センター 会長 磯村 正義
NPO法人 かわさき技術士センター URL:http://www.n-kgc.or.jp/ E-mail: info2@n-kgc.or.jp

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