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「IoTとものづくり」
技術士(機械部門) 磯村 正義
最近新聞や雑誌上でIoTという言葉を聞かない日はないほど、この言葉が氾濫しています。
そのまま訳して、「モノのインターネット」とは何のことかといぶかしく思っておられる方も少なくないかもしれません。
IoTは「あらゆるモノをインターネットにつなぐ」という考え方ですが、それ自体は目新しいものではありません。
20年以上も前からインターネット上に多くのデバイスを接続するという考え方は共有されていました。
しかし近年それを実現するための技術的インフラが整備されたことによって、初めて現実的なものになってきました。
基本的な考え方がそれほど目新しくなくても、その規模が大きくなることによって
システム全体として革新的な変革がもたらされることは科学技術史上よく見られることです。
IoTも、「あらゆるモノをインターネットにつなぐ」ことで、従来考えられなかった新しいサービスや価値が実現されると期待されています。
その範囲は非常に広いのですが、例えば「ものづくり」に限っても、「インダストリー4.0」や
「インダストリアル・インターネット」に代表される新しい製造業のあり方が提唱されています。
詳しくは多くの参考文献をご参照いただきたいのですが、生産システムの構築や顧客価値に対するアプローチに対して、従来にない視点が強調されています。
日本はこれまで「ものづくり」では世界的に優位性を持っているとされていたのですが、
現在はこの面で欧米に遅れをとっているとも言われています。
安易に流行に乗ることが必ずしもいいことではないのですが、世の中の流れを的確に見て、
日本のものづくりの競争力を強化することが求められていると思います。
「最近の商標登録制度について」
技術士(電気電子部門) 黒田 雄一
約2年前に施行された改正商標法において、動き商標や音商標等の5タイプが、新たに保護対象に加わりました。
この改正は商標制度の国際調和の一環ですが、新しいタイプの商標を登録してじょうずに活用すれば、
斬新でパンチの効いた顧客訴求力を獲得することができるかもしれません。
中小企業にも差別化とブランド形成の可能性をもたらし得る一つのツールとして、概要をご紹介します。
日常の買い物や取引で、目的の商品やサービスの商品名、供給元の会社名やマーク(これらを「商標」といいます。)
などを目印に選択することがよくあります。それまで買ったことのない新製品を手にしたときでも、
ラベルに見慣れた会社のロゴが表示されていれば信用してそれを買う、というのはごく普通の購買行動です。
このような商品や会社の名前やマークには、長い取引の実績を通じて「信用が蓄積されてきた」ということができ、
また「ブランドが形成された」ともいえます。
登録されれば保護対象になる商標のタイプは、従来(2015年3月まで)は文字、図形、記号、立体的形状、
それらの組合せまたはさらにそれらと色彩の組合せとされていました。一方、海外の国によっては上述した従来タイプの商標に加えて、
「色彩のみ」や「音」のような違うタイプの商標を保護対象にしています。
企業活動がボーダーレス化して日本企業がこれらの国で商標登録を受けたい場合も生じており、
日本の商標登録の制度も歩調を合わせる必要が高まったことから、
商標法の改正により新しいタイプの商標が保護対象に追加されることになりました。
追加されたタイプの商標は、人間の五感のうち聴覚で認識される(音商標)、
動的である(動きを視覚で認識させる。又は見方によって変化する。)(動き商標、ホログラム商標)、
平面又は空間における輪郭がないものや部分を取り出す(色彩のみからなる商標、位置商標)などの特徴を持っています。
最近のICT技術の普及で、音や映像の加工が以前よりはるかに容易になりました。
したがって音商標や動き商標には、制作コストを抑えて斬新かつパンチの効いた顧客訴求力を持たせ得る可能性があります。
中小企業にとっても、技術力やサービス力だけでなく、顧客の目や耳にインパクトを持って訴えかけるマークを活用したブランド形成が
求められる時代のように思えます。
「安特・衛特活動について」
技術士(総合技術監理部門、電気電子部門) 鈴木 安男
- 安特・衛特制度とは 平成27年の労働災害状況は、統計開始以来初めて死亡者数が1000人を下回り(972人)、 一方死傷者数は、ほぼ平成26年同様横ばいです。 統計開始以来とは言ってもまだ1000人弱の労働者が亡くなっているという現実があります。 表題にある安特・衛特とは、あまり耳慣れない用語です。これは、安全管理特別指導事業場(安特)、 または衛生管理特別指導事業場(衛特)のことです。 安特は死亡災害を発生させた場合、労働災害発生件数が多い場合、休業日数が長い災害が多い場合などの事業場に対して 都道府県労働局長が「労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要がある」と認めたときに指定されます。 制度の根拠は労働安全衛生法です。同様に衛特は、作業環境や作業管理に問題があって健康障害を発生させた事業場または 懸念される事業場などから指定されます。また、安特・衛特事業場に指定される場合もあります。
- 指定期間 指定期間は1年間ですが、労働災害の減少がみられず、有害物に対する措置の成果が上がらない場合などは 次年度も継続指定される場合があります。
- 安特・衛特に指定 (1)安全衛生改善計画の作成は、労基署による書類審査、現場監査、是正勧告、改善指導、命令などが行われ、 その結果を受けて事業場は、安全衛生改善計画を作成し、労基署経由で労働局に提出します。 (2)安全衛生改善計画作成時には、労組などの意見を聞かなければなりません。 (3)作成された計画は、守る義務があります。 (4)短期間に作成するので費用と人材投入が必要になります。
- 改善計画の具体例 (1)安全衛生改善計画の作成 ①事業場の概要(事業場名、代表者、所在地、災害統計など ②基本方針、目標 ③労働災害分析と分析結果及び現状認識を踏まえて以下の改善計画の概要 (ア)安全衛生管理体制、(イ)職場施設等、(ウ)安全衛生教育、(エ)安全衛生活動 (2)安全衛生改善実施計画表の作成 改善計画の概要の詳細を月毎にバーチャートで見やすく表現し、 実施時担当者、期日、予算なども記入すれば計画と実績が見やすくなります。
- 安全衛生に対する意識の変化 指定されると最短で1年間、事業場で計画した事柄を腰を据えて地道に活動します。 これらの活動を実施すると従業員の顔つき「自分たちの職場は自分たちで守る」「安全第一」「自分の命は自分が守る」 と意識や行動の変化が見て取れるようになります。
お役立ち最新情報
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平成28年度川崎市産業振興財団との共催のセミナー(かわさき新産業創造センターで開催)は終了しました。 平成29年度につきましては現在計画中です。 |
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