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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.66


2017年 8月号


発行責任 NPO法人かわさき技術士センター

「かわさき新産業創造センターでの技術セミナー」
  KBIC所長 山崎 愼太郎

 かわさき新産業創造センター(KBIC)は、2003年に川崎市が設置したインキュベーション施設です。 川崎市産業振興財団が設立当初から当施設の運営を担っており、ベンチャー企業の育成や新分野に進出をする企業を支援し、 新しい産業・企業を積極的に作り出すことにより地域産業の振興に寄与しようとするものですが、 併せて、川崎市内のものづくり等の基盤技術振興の拠点としての機能も持っており、講習用機器を配備し、工作機械講習、 仕上加工講習から3D-CAD講習、ものづくり研究会等を開催し、もっぱらものづくり人材の育成などを行っています。
 貴技術士センターのご協力を得てこれまで産業振興会館で実施していた「技術セミナー」を昨年度から、 当KBICを会場として開催することとなりました。
 昨年度のセミナーでも、環境、職場リーダー、エネルギー、マーケティング等と、 当初想定しておりました「技術」に留まらない多岐にわたる内容の講演をしていただきました。 セミナーそのものは、オープンで受講できるものですが、施設外からの利用者だけではなく、 KBIC入居者の方々にも参加を呼びかけ、技術的分野そして、 業務の見直や向上などを図るうえでぜひ利用させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

「講習会、研修会の利用の勧め」
  技術士(応用理学部門)  坪井 秀夫

 “新しい技術を開発し、新規なビジネスにチャレンジしたい”、“既存の製品を改良し、受注の拡大を図りたい” こういった希望をお持ちの方は多いと思います。しかし、いざ開発・改良をやろうとしても、 社内の知識・経験だけでは手に負えそうにない場合もあるでしょう。そこで、短期間に技術の概要と動向、 およびその技術の基盤に関して解説してくれる講習会への参加をお勧めします。
 現在、学協会が主催する講習会やセミナーの他に、セミナー会社が開催する講習会もあり、 いずれも比較的広範囲な分野を対象としていると思います。講習会の講師の先生はその分野の専門家です。 よって、いずれの講習会も満足のいくものですが、特に技術士が講師を務める講習会はお勧めです。 なぜなら技術士という国家資格をもつ講師の先生は、その技術に実際に携わり、 創意工夫を自ら経験してきたプロのエンジニアだからです。技術士が行う講習では、 技術の一般的な説明のみならず、どこに特長があり、他の技術と比較した場合の優位性はどこにあるあるのか、 また開発にはどのような知識や学問を必要とするのか、といったような技術開発の基盤となる内容についても講演があると思います。 筆者はプラズマ技術と真空技術に関して講演を行っていますが、講演を聞きにこられる方々はどなたもとても熱心で、 毎回多くの質問をいただいております。
 上記のような講演会のテーマは比較的広範囲ですが、希望のものが見つからない場合もあるでしょう。 そのような場合は、技術士を社内研修会の講師として呼ぶ方法があります。 技術士には、機械、電気電子、化学といったように21の部門があり、希望する分野の専門家が見つかる確率が高いと思います。 また、「NPO法人 かわさき技術士センター」では、企業に出向いて行う研修会の講師も行っております。 ぜひお声を掛けていただき、ご活用いただければ幸いです。企業で働く技術者の皆様、講習会・研修会を利用し、開発を促進しましょう。

「農業におけるJGAP(農業生産工程管理)の必要性」
  技術士(機械部門)白石秀樹

 2020年東京五輪の選手村で日本の国内農家の食材を使った料理を食べられないかも??? 東京五輪では JGAP(農業生産工程管理)という認証を取得した農家の食材しか使えませんが、 国内の認証取得は1%程度であるという厳しい現状があります。 JGAP認証の「管理点と適合基準」は食の安全、農場運営と販売管理、環境保全、労働安全の適正管理を定めており、 筆者は3年前から順次5S徹底、危害要因分析、農薬・肥料管理、出荷管理、環境管理などの改善活動を行ってきました。
 例えば、農薬保管と肥料保管の混在が問題となる保管場所の完全分離を実施し、B/Aチャート(Before/Afterチャート)を作成、 食の安全確保の社内体制を徹底してきました。 3年間にわたって法人化から継続的に指導してきた宮城県のいちご農家は3名の社員、数名のパート社員を雇用し、日常業務をこなしてきました。 当初、社員が各自の判断で出来る範囲の業務を行っていて、品質管理の問題や出荷作業でのトラブルが多発していました。 組織を適正に再構築することにより、日常業務を生産販売スケジュールに沿って計画的な実施ができるようになり、 安定的な収穫、品質の向上、出荷作業の効率向上が達成できて、JGAP認証を取得することができました。
 農業法人の組織では、重要ポイントは次のようになります。
1.全社の経営方針と目的を各部門が共有していること
2.各部門の仕事の分担が明確化されていること
3.PDCAを回し部門内で責任が自己完結していること 組織・人員の役割が明確化されPDCA(Plan-Do-Check-Act cycle)がうまく回るようになると組織が活性化して、 品質上や業務効率向上に対する課題がより明確になります。 東京五輪にむけて農水省は2016年補正予算で2億円を計上し、国内農家に認証取得を勧めています。 農業工程の改善は工業の工程改善と考え方は基本的に同様であり、TQM(Total Quality Management)や QCをはじめとした生産管理手法がそのまま応用展開できます。 製造関連企業の技術者でも JGAP指導員の資格を取得すれば、 農家への認証取得の支援が可能になりますので、チャレンジされてはいかがでしょうか。

お役立ち最新情報

[技術士によるセミナー] (現場経験に基づくホットな内容)

メニュー日時内 容
(公財)川崎市産業振興
財団主催技術セミナー
16:00~17:30
KBIC大会議室
9月26日(火) ISO9001 の活用とTPMで現場管理の改善 (仮題)
技術士(経営工学部門) 佐藤 幸雄
10月4日(水) 手厚い補助金を上手に活用  (仮題)
~省エネや省資源でコスト削減と環境貢献~
技術士(環境・総合管理部門) 田脇 康広
11月1日(水) 売れる新製品開発を実現するための技術経営戦略 (仮題)
~中小ベンチャー企業向け実践的 MOT~
技術士(化学部門) 佐々木 久美

[支援事業] (申込先:川崎市中小企業サポートセンター)

 技術士による技術窓口相談
 (無料・要予約)
13:30~16:30 (例)公的支援、電気用品安全法、技術・経営に関すること
 緊急コンサルティング(無料) 原則随時です 企業に出向き緊急の課題を支援致します。最大3回可能です
 専門家派遣(有料) 募集があります 費用は半額企業負担です。課題に対し最大12回の継続支援
川崎市中小企業サポートセンターとは
中小企業を応援する総合的な支援機関で、主な支援事業は次のとおりです。
★総合相談窓口 ★専門家相談窓口 ★人材育成セミナー ★専門家派遣事業
★かわさき企業家オーディション ビジネス・アイディアシーズ市場」
TEL:044-548-4141 FAX: 044-548-4146 URL: http://www.kawasaki-net.ne.jp/
2017年 8月 1日発行  発行責任者:NPO法人 かわさき技術士センター 会長 磯村 正義
NPO法人 かわさき技術士センター URL:http://www.n-kgc.or.jp/ E-mail: info@n-kgc.or.jp

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