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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.54


2015年 8月号


発行責任 NPO法人かわさき技術士センター

「自力」の育成は「他力」の活用で「2歩前進」
  技術士(経営工学) 佐藤 幸雄

 電気工学科を卒業して機械系の会社に就職し、多くの業務の経験のなかで、電気出身者だからできたと思われることが多々あります。 例として、鍛造工程への誘導加熱の導入は基礎実験から実施して実用化しました。 電気出身者には全くの部門外である高速研削については、精密工学系の学会誌を読みあさり、 砥石メーカーの援助を得ることで、軸受輪の研削工程を最高の条件に実用化できました。 また、ロボット部門の責任者の時には、自動車以外にロボットを普及させるには大幅な低価格化が必要として、 部品点数の半減化をはじめ、購入部品の大幅低価格化を実現した新製品で収益向上に大きな貢献をしました。 いずれも、各製品の製造技術の展開の中で大きな足跡を残せたと自負しています。
 これらのことは、私が機械系の専門家でないため、その道の専門の方々からの「他力」によって専門的知識を学んだことや、 私自身が機械系の学会誌などで勉強して、「自力」を育成したことなどにより実用化できたのだと考えています。 総括して考えると、工夫や改善に必要とされる「他力」を活用して「自力」育成し、 「2歩前進」を目指すことで大きな改革を実行できた事例と考えられます。目先の改善では議論を巻き起こすことでも、 目標が明確な「2歩前進」なら実現できます。 その際、「あるべき姿」を明確にし、「自力」を育成する「他力」を活用することが重要です

「中小規模ビル向けEMS導入でのエネマネ事業者の活用」
  技術士(機械部門) 白石 秀樹

 近年、中小ビルの事業所数は大規模ビルより圧倒的に多く、  国内トータルエネルギーの削減を考えた場合、無視できない存在となっています。 このため、経済産業省/(一般社団法人)環境共創イニシアチブ(SII)では 2012年4月から中小ビル対象の補助金制度を実施し (エネルギー管理システム導入促進補助金)、登録業者であるエネマネ事業者(61事業者)を通じて、 中小ビルや小売・サービス業などにも取組みやすいEMS(エネルギーマネージメントシステム)の導入促進が行われています。
 中小規模ビル向けEMSの特徴は、大規模ビル向けに多く採用されている中央監視装置を持たないことです。 また、制御機能付きのタイプではビル内に設置されている空調機や熱源、照明などのサブシステムを管理するコントローラーを持ち、 管理用PC上でエネルギー使用状況などを監視できます。
 クラウドによるエネルギーデータの収集や電力量監視は、 SIIに登録されたエネマネ事業者とエネルギー管理支援サービスの契約を結ぶことが必須で、 次の4つの要件を満たさなくてはなりません。 ●(見える化サービス)補助事業者及びエネマネ事業者において補助事業者の電力消費量をリアルタイム(30分間隔)で把握ができること。 ●(DRサービス)エネマネ事業者側の操作により補助事業者の系統電力の消費量の抑制を図ることができること。 ●(診断サービス)省エネ診断報告書等を年度内に1回以上提供し、継続的な省エネアドバイスや設備更新に関する提案を行うこと。 ●(省エネサービス)補助事業者において設備導入後の省エネ量を確実にするため、省エネアドバイス、チューニング、ESCO等の省エネサービスを実施すること。
 登録されたエネマネ事業者を活用することで補助金の優遇があり、省エネ効果の増加も期待できます。 特に空調機、LED照明などの設備更新を現在検討されている中小規模事業者にとっては適した制度ですので、検討に値すると思われます。

「全員が勝者の省エネ活動」
  技術士(総合技術監理、環境部門) 田脇 康広

1.全員が勝者となる環境の取組
 企業経営の現場では、生き残りをかけた技術開発や合理化活動などで気の休まる時がないのではないでしょうか。 ところが省エネや資源循環などの環境の取組だけは全員が勝者となる活動です。 中でも省エネ活動は「win-win-win(=三方良し)」の典型で、個人の家では電気代が下がり、 企業では製造コストが下がり、電力会社では化石燃料の使用量が減り、 社会ではCO2 排出量削減で地球温暖化防止に貢献するなど、誰も損する人がいません。
2.行政の支援制度を上手に活用した省エネの取組を推進
 省エネをするためには大きな投資が必要になると考えるのは早計です。 お金をかけなくてもできる省エネのネタがたくさんあります。近年行政による無料の省エネ診断や高額の補助金など多数の支援制度があります。 また成功事例などの紹介も積極的に行われていますので、これを上手に活用することをお勧めします。
3.楽しい省エネのために従業員への省エネの成果報告は金額換算で
 企業内で省エネ取組を継続させるには、体制や仕組みも大切ですが「なぜ省エネをする必要があるのか」の動機づけと、 推進に協力する全従業員に対して取組の成果を「わかり易い言葉」で適切にフィードバックすることが必要です。 実はこの「わかり易い言葉」がミソです。 「従業員の皆さんの協力で当工場のCO2 排出量が○トン削減、電力使用量が○kWh削減」といわれても、 だからどうしたとなります。まして、「原油換算で○kℓ削減、熱量で○Mジュール削減」などと言われたら、 理解できる人はほとんど皆無でしょう。これでは長続きするはずもありません。人がいないときに消灯したこと、 冷房温度を28度に設定したことなど協力の効果を合算して金額換算することを提案します。 「省エネで○円合理化できたので、それの○%は皆さんにボーナスで還元する」とか 「合理化できた分をプールしてエアコンを新しくする」などと報告されたら、モチベーションが上がるはずです。 「我慢の省エネ」ではなく「楽しい省エネ」の継続で最終目標の地球温暖化にストップをかけましょう。

お役立ち最新情報

[技術士によるセミナー] (現場経験に基づくホットな内容)

日時・場所 内 容
平成27年度
技術セミナー
(14:00~16:30 )

川崎市産業振興会館
9階 
10月14日
(水)
「事業運営における「自力」の育成と「他力」の活用方法」  技術士 佐藤 幸雄
「安全管理の継承・継続における人材育成」  技術士 鈴木 安男
11月11日
(水)
「機械設計現場で活用する材料力学の基礎」  技術士 伊藤 精二
「省エネや省資源で合理化と環境貢献」  技術士 田脇 康広
12月 9日
(水)
「メディカル・ウエアラブルのための小型電源」  技術士 渡辺 春夫
「水素エネルギーの利用のはなし」  技術士 西田 啓一
1月13日
(水)
「現場リーダー問題・課題解決力養成 (1)~リーダーの心構え」 技術士 和田吉正
「現場リーダー問題・課題解決力養成 (2)~実践的改善テクニック」 技術士 和田吉正

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2015年 8月 1日発行  発行責任者:NPO法人 かわさき技術士センター 会長 磯村 正義
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