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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.45


2014年 2月号


発行責任 NPO法人かわさき技術士センター

「知財支援制度を活用するリスクの軽減」
  技術士(電気電子部門) 黒田 雄一

 20年この方続いてきたデフレからの脱却に向けた動きが加速していますが、 一方で4月から消費税率の引き上げが予定され、 国、企業、個人のいずれにとってもかじ取りの難しい局面を迎えています。 お金の流れが澱んでしまって産業への投資に回らないことがデフレの大きな原因であることから、 個人がリスクを取ってお金を投資に回すことを税金面で優遇する制度も始まりました。
 リスクを伴う企業の判断といえば、新規雇用や設備投資が挙げられますが、 特許や商標などの知的財産権の取得も、 何十万円単位の費用をかけて不成功に終わる場合が皆無ではないので、やはりリスクを伴います。 しかし、例えば研究開発型中小企業や非課税法人について、 審査請求料(多くの場合15万円程度)や特許料の半額を軽減するなど、 各種の支援制度が設けられています。また、川崎市の中小企業外国出願支援事業のように、 自治体によるそれぞれの支援事業が進められています。  これらの制度や事業を知って上手に活用すれば、費用面のリスクを減らすことができます。 他社と同じことをやっていても事業を続けられる時代ではありません。 専門家に相談して、リスクをみきわめながら知財を生かして攻める形の経営も、 選択肢の一つとしてぜひご検討下さい。

「電気料金を安くする方法」
  技術士(建設部門)  横井 ツヤ子

 節電・省エネのご支援活動をしております。値上がりしていく電気料金を少しでも安くする最近の自衛策の一端をご紹介します。 企業様のご参考になれば幸いです。
1、電気料金の削減方法は大別して3つあります。
 (1)電気の使用量を減らす。
 (2)東京電力との契約形態を見直す。
 (3)電気を作り、他に売ったり、自分で使ったりする。
 それぞれについて説明します。
2、電気の使用量を減らす。
 どなたも最初に取り組まれる方法ですが、こまめにスイッチのON,OFFをチェックする段階は限界にきており、 新たに省エネ設備を選択して導入する段階に来ております。
3、東京電力との契約形態を見直す。
 現在の契約が高圧受電か低圧受電かによりますが、低圧受電の場合、
方法1:電子ブレーカーを設置し契約電力を数十%下げ基本料金を安くします。
方法2:数社で合意できれば自家用発電設備を共有する形で高圧受電に変え、電気料金をかなり下げることができます。 この場合電力一括購入のサービス会社との契約となります。
4、電気を作り、他に売ったり、自分で使ったりする。
 太陽光発電システムを例にすると、システムの導入価格、メンテナンス費用、売電価格の変動を考慮する必要があります。 家庭用の場合は、余剰電力分しか売電できないために、太陽光発電システムへの投資の元を取るのには10年以上かかると言われています。 いっぽう産業用の場合は、全発電量を売電できるので検討する価値があります。 たとえば、工場の屋根に太陽光発電システムを取り付けた場合、発電した1kWhあたり42円で売電できる一方で、 工場で使う電力は10円台の安い価格で別途購入する方法を検討します。 ただし、産業用では10kW以上の発電システムの設置が必要とされます

「適切な設備投資は企業の将来を約束します!」
  技術士(化学部門) 小野 健雄

 企業が収益を確保し、安定して成長するためにはヒトおよびモノに適切に投資することが必要です。 モノに投資すること(設備投資)とは企業が生産や販売などの活動を行うために個々の設備や工場、店舗などの有形固定資産を取得することを言います。 安倍政権の”アベノミクス”経済政策は円高から脱し、物価上昇2%のインフレによって日本経済を成長させることを目標とし、 三本の矢と呼ばれる基本方針を設定しています。 一本目の矢は大胆な金融緩和で、二本目の矢は機動的な財政政策であります。 そして三本目の矢は民間の設備投資を喚起して、経済を成長させる戦略と言われています。
 ここで設備投資の目的を大まかに分類してみます。 ①設備、工場、店舗などの老朽化(取替え)、陳腐化(更新)に対する投資 ②市場の需要増大に合わせた増産投資  ③原材料やプロセスの変更に伴う改善や効率化に伴う投資  ④新製品や新プロセスの採用や新規分野進出に伴う投資  ⑤企業の効率化や競争力などの基礎体力を強化するための情報化投資  ⑥顧客に対するサービスの向上、環境保護、危険減少、福利厚生などの採算性に関わらない投資などです。 これらの中で、⑥を除く設備投資についてはその投資の採算性を厳密に検討する必要があります。 しかし、設備投資の難しさは採算性と戦略性(意義)とのバランスをとり、かつ採算性は必ず確保しなければならないことです。
 採算性の判断基準は個々の企業によって異なりますが、原則的には以下のように考えられます。 設備投資をしてよい案件は、その投資利益率{=(税引き後の純利益/総投資額)×100}が 企業の現在の税引き後の総資本利益率{=(税引き後の純利益/企業の投下資本)×100}よりも高いものであり、 かつ設備の投下資本回収期間(=設備への投下資本/設備投資による税引き後の純利益)が2~3年未満のものです。 しかし、採算性を確保した案件でも、投資には必ずリスクを伴います。 特に、一企業では対処できない政治、経済、社会情勢などの激変や大規模な自然災害に遭遇したときの対処方針について、予め考えておくことが必須です。
 適切な設備投資は企業の事業基盤の確立や成長に大切なことであり、その企業の将来が決められてしまいます。 従って、設備投資は目的や採算性、リスクなどを総合的かつ戦略的に捉えて企業の永続的な発展を求めて行く“経営者の最も重要な意思決定の一つ”と言えます。

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2014年 2月 1日発行  発行責任者:NPO法人 かわさき技術士センター 会長 磯村 正義
NPO法人 かわさき技術士センター URL:http://www.n-kgc.or.jp/ E-mail: info@n-kgc.or.jp

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