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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.44


2013年12月号


発行責任 NPO法人かわさき技術士センター

「小さい字、大きい字」に見る改善のネタ
  技術士(電気電子部門) 肥沼 徳寿

 温泉や家庭の風呂場で、シャンプーとリンスの見分けがつかなくて困ったことがありませんか。 とりあえず手にとった容器、使ってみたらリンスで、別の容器に取り替える忌ま忌ましさ。 それにしても、小さな字でそれも英字で書いてあったりします。 これは一例ですが、多分使う人の状況(普通風呂場では眼鏡をかけない)を考えないでメーカ側が自己流の表示をしているにちがいありません。
 もしも大きな日本字で明記してあれば私はその商品を選びたいと思います。
 これと類似な例は過剰な機能をこれでもかと盛り込んだ様々な家電や機器などにも見られます。 この場合、不要な機能は顧客にとっては余分なものを押しつけられる、さらにお金をとられるという2重の負担を強いられていることです。 リンスの例では、きわめてポピュラーな日用品でさえ、このように消費者の不便が放置されていることがままあることです。 この例では、①顧客が何故か声をあげない、②商品開発者が慣れによって気づかない、③細部にこそ目をつけよ、と言うことが忘れられています。 ものづくり、サービスの提供という観点から考えますとニーズの把握は、 小さいものから大きいものまで、ものづくり、サービスがある限り終わりはないわけで、 我々の周りには限りなく改善のネタが潜在していると考えてよいと思います。

「台湾、現地現物の駆け足旅行」
  技術士(化学部門・総合技術監理部門) 北本 達治

 最近、台湾を駆け足旅行で一周してきました。 台北を出て新竹を横目に、台中、嘉義、台南、高雄、台中、花蓮、九份とまわってきました。 この駆け足旅行で印象的だったことがいくつかありました。 道路がほぼ台湾全周にわたり整備されていること; 街路が広く都市内の区画・街路整備も進んでいること; 町の中にゴミがなく、街中のトイレの清潔さ、日本以上にクリーンな町であるということ; そして、台湾と中国は違い、台湾の中でも本省人と外省人の間にはわだかまりがあるようです。
 第二次世界大戦終了後、日本統治下で教育を受けた本省人(これ以前に台湾に住んでいた人たち)に対する国民政府の弾圧、 これに対抗して蜂起した本省人たちのいわゆる2.28事件も、国民政府が大陸から増派した軍隊により徹底的に弾圧・平定されました。 その後、蒋介石の国民政府が大陸を逃れて台湾に来て、その時に中国から連れてきた100万人の外省人が 台湾における権力を独占する時代が続きました。 1978年第6代総統に就任した蒋経国は、総統就任前の1974年以降、インフラ整備(十大建設)を積極的に推進し、 それにより、台湾の経済が躍進を始めたのです。桃園国際空港の建設や中山高速公路などがその成果です。 国道1号線とも呼ばれる中山高速公路は、台湾の基隆・台北・新竹・台中・台南・高雄など 台湾西部の主要都市を連絡する総延長372.8km、制限速度100~110km/hの高速道路です。 市街地の整備もこの計画によるものと思いましたが、日本統治時代のものでした。
 このような複雑な歴史を持つ台湾は、親日的だと言われますが、嫌中的という側面もあるようです。 蒋経国の死後、その後を継いで第7代総統となった李登輝は、日本統治時代には岩里政男という日本名を持つ本省人でした。 蒋経国の台湾国内向けの施策と相まって、今では外省人と本省人のバランスが取れて、台湾の世情は現在では落ち着いているようです。
 「現地現物」という言葉をご存じの方は多いでしょう。 何か事故や、事件が起きた時には、まず現地に行き、現物を見て・聞いて・触れてみることの重要さはどんな場合にも強調されています。 台湾も現地に行き、町を歩いてみると、これまで日本にいて考えていたイメージと随分違いがあることが分かりました。 今回台湾を一回りしてきて、これまでの認識を改める発見が多かったのです。

「ドイツの中小企業が元気」
  技術士(化学部門) 渡辺 春夫

 先日、技術士仲間の講演会があり聞きに行ってきました。 ドイツの中小企業が元気だとの話があり、興味を持ちました。 ドイツ語で中小企業は”Mittelstand”と云うそうです。早速、ネットで調べてみました。 宜しければ、皆様もやってみて下さい。 筆者は英語が得手ではないですが、検索エンジンに”German Mittelstand”と打ちますと、 ドイツ連邦経済技術省(Federal Ministry of Economics and Technology)の英語のページ ”German Mittelstand: Engine of the German Economy”「ドイツ中小企業:ドイツ経済のエンジン」に当ります。 ”German Mittelstand”(GM)は、好調なドイツ経済を支える大きな存在となりました。 ベルリンの壁崩壊(1987年)から国を挙げて変革に努力してきた成果で、次のような要因が挙げられます。 ①GMは、家族経営が大部分であり、長期間ビジネスポリシーがぶれない。 ②GMは極めて創造的である。(半数以上の企業が3年間(2008-2010年)に新製品・新プロセスを市場に投入している)。 ③経営基盤が安定している。(自己資金が半分程度、残りの大部分が銀行調達、それ以外の外部調達が少ない)。 ④この高い自己資本比率と慎重な経営判断によって、経済危機下でも、中期および長期投資を実行してきた。 ⑤人材育成に熱心。83%のGMがトレーナーを雇っている。 若年失業者を減らし、明日の熟練社員を作る。 ⑥政府の支援が強力である。
 GMは、ニッチな製品・サービス領域に特化しているが、そのビジネスはワールドワイドであり、 決して小さいものではない。 グローバルな視点で輸出志向性を持って、ニッチマーケットを果敢に攻めている。 営業活動は、グローバル市場に対して重要であり、製造業でも、人員の半数を割いている企業も少なくない。 世界チャンピオンのビジネス領域数を国別にプロットしたものが添付図で、ドイツが圧倒的な強さを示していることが分かります。

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2013年12月 1日発行  発行責任者:NPO法人 かわさき技術士センター 会長 磯村 正義
NPO法人 かわさき技術士センター URL:http://www.n-kgc.or.jp/ E-mail: info@n-kgc.or.jp

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