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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.86


2021年09月号


発行責任 NPO法人かわさき技術士センター

「情報通信白書に見るコロナ禍のデジタル化」
  技術士(情報工学、総合技術監理)  嶋田弘僧

  令和3年版情報通信白書が7月30日に公表されました。第1部の特集は“デジタルで支える暮らしと経済”で、 その第2章で“コロナ禍で加速するデジタル化”が取り上げられています。
  その内容によれば、新型コロナウイルス感染症の拡大により、インターネットショッピング・動画配信などが伸張し、 在宅時間の増加等により、インターネットトラヒック(回線利用量)は、対前年度比150%以上増加しました。 公的分野(行政、教育、医療)や企業では各種のデジタル活用が進む一方、その過程で様々な課題が顕在化しています。 例えば企業でのテレワークの実施率を見ると、企業規模、地域、業種ごとにばらつきがあります。 デジタル化がなかなか進まない理由として、「情報セキュリティへの不安」、「リテラシーの不足」、 「利活用が不十分」、「通信インフラが不十分」、「端末が行き渡っていない」などの点が挙げられています。
  第3章のテーマである「誰一人取り残さない」デジタル化の実現に向けて、個人利用者におけるデジタル活用の促進と、 民間企業・公的分野におけるデジタル化を一体化して進めることが重要だと考えます。 特に対応が後手になりがちな中小企業に対して、私たち技術士がテレワークの推進などデジタル化への取り組みを支援していきます。

「「ISO内部監査で業務改善をめざす」
  技術士(機械部門)  遠藤民夫

  私は技術士業務の一つとして、環境(EMS)、品質(QMS)、労働安全衛生(OHSMS)のマネジメントシステム(以下MSと呼ぶ)審査を行っています。 ISO内部監査について最近感じているところを述べます。
  内部監査は自分達の組織の活動を自分たちでチェックし合うという、これまでの日本の文化にはないアングロサクソン民族の知恵であり、 違和感を持っている方も多いかもしれません。 しかし、最近、内部監査を自社の本業の改善に役立つ監査とすべきとの考え方を持つ経営者が徐々に増えてきたことはうれしいことです。 私が支援させていただいている企業の社長さんから、本業の進捗状況は、職制を通した定例会議の場で確認しているが十分とは思っていない、 内部監査でMSの視点から本業の活動状況を確認してほしいと思っているとの話を聞きました。 これは非常にすばらしい考え方であると思います。私なりに解釈すると次のようなマトリックス的考え方になります。 職制を通した業務の確認を縦串とすれば、MSの視点での確認は横串と考えられます。縦串での確認はこれまでどおり行われ、 それに加えてMS視点(規格の要求事項関連)で横串のチェックが加わることで、今まで気づかなかった改善が図られ、 または、業務に対する確信が高まるなど、経営の足腰の強化が図れるとの考え方が成り立ちます。 具体的にはMSの視点で本業の活動状況について、仕組み(プロセス)上の課題、業務運用上の課題、 目標達成状況の課題、資源(人、設備、資金、時間等)に関する課題、利害関係者とのコミュニケーションに関する課題などをチェックし、 経営層へ報告することです。しかし、このような経営者の考えを組織の内部監査員の方々が理解できているかが、大きな課題となります。 内部監査の目的はMSの活動状況をチェックし経営層に報告し、経営の舵取りに反映させることです。
  “ISOで要求されているから仕方なく監査を行う”との考え方や、 “内部監査での指摘は少ない方が良い”とする考え方では経営層の舵取りに役立つ情報の提供はできません。 部署監査で問題が見つかれば、監査員と被監査者が議論することから新たな知恵が出てくる可能性もあります。 問題を率直に言える風通しの良い企業にもなると思います。 最近、内部監査セミナーの講師をする機会が増えてきたため、規格の適合性監査だけでなく、このような話もしています

「ワードクラウドによるトレンド解析」
  技術士(化学部門)  本山 晃

  ワードクラウドというデータ解析法をご存知でしょうか?工程改良や規制対応などの技術ノウハウも大切ですが、 「データの時代」を勝ち抜く有力なツールをご紹介します。
  パソコンやITが苦手な方も心配ご無用です。ガイドつき無料サイトが多数あるので、 インターネットに繋がるパソコンがあれば誰でも体験できます。 主な作業は「文字や数値などの手持ちデータの入力」だけです。 解析ツールがキーワードの抽出と入力データ全体の特徴解析を行い、出現頻度や重要度に応じ文字サイズや色を変えたキーワードが並ぶ図を生成します。 データ中の頻出キーワードがひと目で分かるため、トレンド解析に特に威力を発揮します。
  一例として 昨年度の中小技術支援ニュースの記事をユーザーローカル社のサイトで解析してみました。 文字数約1万字のテキストをそのままコピペして数秒でどんな話題が取り上げられたかひと目でわかる図が出力されます。 文章を品詞に分解し、キーワード抽出や頻度カウントするプログラムが動いています。精度の鍵は膨大な蓄積データとAIです。
  この解析法の最大の利点は応用範囲の広さです。 デジタルデータであれば文字・数字を問わず、どんな情報も解析できます。 キーワード間の相関の強弱もわかるためトレンド予測の強力な武器になります。 技術動向やマーケティング予測はもちろん、品質管理にも使えます。高度な統計解析を行う前に素早く大枠を掴みたい場合に特にお薦めです。
  技術士は専門分野のスペシャリストであり、私の専門は分析化学・品質保証ですが、このような周辺領域の先端技術にも目を光らせています。 「データの時代」の競争はすでに始まっています。課題解決だけでなく未来を先取りし、伴走するパートナーとしてお役立ていただければ幸いです。

お役立ち最新情報

[技術士によるセミナー] (現場経験に基づくホットな内容)

川崎市産業振興財団共催
2019年度技術セミナー
かわさき新産業創造センター
AIRBIC会議
(15:00~17:00)
 9月15日(水) 納入先等から環境関連データの提出要請を受けたときの上手な対応方法
 技術士(環境部門・総合管理部門) 田脇 康広
10月20日(水) 脱炭素社会、気候変動対応時代の中小企業のESG・SDGsへの展開
 技術士(経営工学部門・総合管理部門) 田中 弘一
11月17日(水) 技術経営とマーケティングが導く新たな市場と顧客
 技術士(化学部門) 佐々木 久美

[支援事業] (申込先:川崎市中小企業サポートセンター)

ワンデイ・コンサルティング(無料) 原則随時です 企業に出向き緊急の課題を支援します。最大3回可能です。
専門家派遣(有料) 募集があります 費用は半額企業負担です。課題に対し最大12回の継続支援。
川崎市中小企業サポートセンターとは
中小企業を応援する総合的な支援機関で、主な支援事業は次のとおりです。
★総合相談窓口 ★専門家相談窓口 ★人材育成セミナー ★専門家派遣事業
★かわさき企業家オーディション ビジネス・アイディアシーズ市場」
TEL:044-548-4141 FAX: 044-548-4146 URL: http://www.kawasaki-net.ne.jp/
2021年 9月 1日発行  発行責任者:NPO法人 かわさき技術士センター 会長 磯村 正義
NPO法人 かわさき技術士センター URL:http://www.n-kgc.or.jp/ E-mail: info@n-kgc.or.jp

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