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「技術支援で思うこと」
川崎市産業振興財団産業支援部長 小泉 和明
川崎市産業振興財団は、11月からKOBS(川崎市海外ビジネス支援センター)が 産業振興会館に移転したことにより現在3箇所の事務所で事業展開しています。 産業振興会館と新川崎の新産業創造センター(KBIC)及び殿町のナノ医療イノベーションセンター(iCONM)です。 意外と知られていないのがKBIC(かわさき新産業創造センター)の二つの目的のうちのひとつ、 「市内企業のものづくり技術の高度化支援」です。KBICはインキュベーション施設であると同時に、 市内企業の技術支援をしています。 2名で、ほぼ常駐して入居企業の技術相談に対応すると共に、 仕上げ作業講習会(やすりがけ、ドリルの砥ぎ方、ケガキの基礎等)からロボット技術研究会(組み込み制御) (これは、かわさき技術士センター会員に講師をお願いしています)、 3次元CAD講習会等を開催し広く参加者を募集しています。 技術相談には神奈川県の産業技術センターが海老名にありますが川崎の企業には遠距離です。 KBICで計測あるいは実験に対応することは出来ませんが、 近くの相談窓口ができれば市内中小企業のお役に立てるのではと思っています。 そのためには、当財団サポートセンターとの調整は必要ですが、 かわさき技術士センターあるいは、かわさきマイスター等との連携などを考えています
「米国発の『シェール革命』が始まっている」
技術士(化学部門)小野 健雄
常識や価値観を根本から覆す意味の“革命”が付いた“シェール革命”あるいは“シェールガス革命”という言葉を目や耳にしたことがあると思います。
近年、シェールガス(天然ガス)とシェールオイル(軽質石油)という非在来型のシェール資源が、米国だけでなく中国、アルゼンチン、アルジェリア、
カナダ、メキシコなど世界各地で大量に発見されています。その結果、天然ガスは約400年、石油は約200年に可採埋蔵量が大幅に増えたと言われています。
このシェール資源は地下数千メートルにある頁岩(shale)層から採掘されます。
シェール資源が頁岩層にあることは1821年に知られておりましたが、
地中深く且つ硬い頁岩層の小さな隙間に存在しているため、技術的および経済的にエネルギー資源としては認識されていませんでした。
しかし、米国の中堅石油開発企業ミッチェルエナージーのジョージ・ミッチェル氏が、地中を垂直に掘削し、
頁岩層に届いたら水平に掘削する水平掘削技術および硬い頁岩層に高水圧をかけ小さな隙間を破砕し拡大するという水圧破砕技術を組み合わせて使用し、
1998年にシェール資源の商業的な採掘に成功しました。
この成功により、米国ではシェール資源が商業的に大量に採掘されるようになり、天然ガスおよび石油の輸入国から輸出国になると言われております。
その結果、世界のエネルギー供給が大きく変化し、世界的規模で政治や経済に大きな変革を与えると言われています。これが“シェール革命”です。
私たちがこの恩恵を身近に感じた例としては、米国向けの中東産LNGが大量に輸入できた為に東北地方太平洋沖地震後も電力が安定的に供給された事や、
シェール開発を牽制するためにOPEC諸国が原油を増産しており、最近のガソリンが値下がりしている事などがあります。
更に、天然ガスは炭酸ガスや窒素酸化物の排出量が少なく硫黄化合物を排出しないためにクリーンエネルギーとしての利用拡大が期待され、
原子力やこれからの自然エネルギー開発に大きな影響を与える事が必至と言われています。
例えば、天然ガスタービン・コンバインド・サイクル発電は発電効率が60%で建設費や建設期間も原発の1/10位なので原発依存を提言することが可能となります。
残念ながら日本にはシェール資源は殆ど有りませんが、
周囲の海には未開発のメタンハイドレートが大量に存在していますので、
この商業的開発を大いに期待したいものです。
「3D-CADの進化と機械設計技術の向上について」
技術士(機械部門) 伊藤 精二
私が3D-CADでメカ設計を始めたのは1988年でした。
当時、2.5次元の作画機能を持つ2D-CADをVTRの機構設計に適用し、
作業効率の改革や手描き製図の作業では困難な傾斜した3D空間の設計業務を行っていました。
当時の課題は、2D-CADで確立した設計検討手法に3D-CADのメリットを如何に活かせるかでしたが、
3D-CADにアセンブリという概念が導入された事で、試作・組立確認というプロセスがコンピュータ・グラフィックスの画面上で実現された感覚を抱きました。
それならば、試作組立時の段階で必ず行う、軸のはめあいやリンク機構などを回転や摺動による動きや干渉の動作検証を画面上のマウス操作でできないか?
とCADベンダーに要望した事を覚えています。
それが現在の3D-CADでは、現実の試作と同様にマウスで動き、部品と部品がぶつかれば、
衝突を検知して止まる! 色が変わる! という形で実現されています。感動と同時に3D-CADの進化・普及の要因を実感しました。
しかし、一方で実際の設計とは違った方向性を示しているような点が懸念されます。
ほとんどの3D-CADが、部品を単独で3D化してから組み立てるというボトムアップアセンブリの手順を3D設計手法として提示しています。
『2D図形→図形の完全拘束→3D立体化→単品部品の仕上げ→組立』という工程です。設計現場でこんな設計をしているでしょうか?
もう一つ、トップダウンアセンブリという手順が提示されています。
一般的な設計は、まだこの考え方に近いと思いますが、概要は全体構造を構想する前に、
まずその部品構成を定義してから、個々の部品をアセンブリの中で3D化するという逆工程の進め方です。
いずれも、全体構造の検討図から他部品との関連や空間制限より、
機能と形状を検討するといった実際の設計手順を支援するような手法や操作手順がほとんど説明されていません。
最近、3D-CADは使えるが、設計できない、図面の読み書きができない若い人が多いとの話をよく耳にします。
本来の設計検討の行為が、CADの操作手順に阻害されているのではないか? と危惧してしまいます。
3D-CADは進化していますが、設計の道具に過ぎません。
道具に依存し過ぎることなく、日本企業の設計ノウハウの良さがさらに強化され差別化を生むような、
3D-CADという道具を使いこなした設計技術の向上に目を向ける事が肝要だと思っています。
お役立ち最新情報
[技術士によるセミナー] (現場経験に基づくホットな内容)
日時・場所 | 内 容 | |
平成27年度 技術セミナー (14:00~16:30 ) 川崎市産業振興会館 9階 |
12月 9日 (水) |
「メディカル・ウエアラブルのための小型電源」 技術士 渡辺 春夫 「水素エネルギーの利用のはなし」 技術士 西田 啓一 |
1月13日 (水) |
「現場リーダー問題・課題解決力養成 (1)~リーダーの心構え」 技術士 和田吉正 「現場リーダー問題・課題解決力養成 (2)~実践的改善テクニック」 技術士 和田吉正 |
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2月24日 (水) |
「事業運営における「自力」の育成と「他力」の活用方法」 技術士 佐藤幸雄 「安全管理の継承・継続における人材育成」 技術士 鈴木安男 |
[支援事業] (申込先:川崎市中小企業サポートセンター)
技術士による技術窓口相談 (無料・要予約) |
13:30~16:30 | (例)公的支援、電気用品安全法、技術・経営に関すること |
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