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100年企業に思う 技術士(経営工学部門) 佐藤 幸雄
最近、100年企業として生き残るために体制の見直しを行っている中小企業の支援を行っています。
会社の寿命30年と言われていますが、この会社も、これまでの80年間、
伝統の継承と改革の実行により幾多の危機を乗り越えてきた歴史を持っています。
会社の継続には、創業者の業績を引き継ぐとともに、従業員対策、後継者問題などがあります。
その上、現在では、当面の問題点とは別に、企業存続の立場から海外を含む製品対応が重要な課題となっています。
そんな中、かわさき技術士クラブで「東芝科学館」を見学しました。
東芝は、からくり名人「田中久重」と電灯の開発者「藤岡市助」の2人の会社の合併で生まれた会社ですが、
この超大企業でも創業136年とのことです。
創業時代の物語や「東芝1号機物語」に接し、創業時代の2人の絶大な進取の心意気と技術の探求の伝統の上に
今日の東芝があることを強く感じました。
その中で、白熱灯からLEDへ、ブラウン管から液晶テレビに、更に有機ELディスプレイなど、
製品環境は激変しています。
この変革に対応して行くことが出来ねば、東芝の様な超大企業でも、その存在が危うくなると、
改めて100年企業の重みと、伝統と変革対応の重要性を感じました。
「下町ロケット」に学ぶ下町型知財戦略 技術士(電気電子部門) 黒田 雄一
最近の直木賞受賞作「下町ロケット」(作者:池井戸潤)が話題になっています(既にTVドラマ化)。
東京都大田区の中小企業がロケットの基幹部品であるエンジンバルブの特許をめぐって超大企業と渡り合い、
ついに自社製バルブを搭載したロケットの打ち上げに至るという物語です。
小説として十分楽しめますが、中小企業の知財戦略の点でもたいへん参考になります。
主人公の佃航平は、エンジンメーカーである佃製作所の二代目社長ですが、
かつて国の研究所でロケットエンジンの開発に携わっていた頃の夢を求め、
現業に直接の縁がないロケット用の新型バルブシステムを開発し特許化します。
これがたまたま、超大企業の帝国重工が威信をかけて開発中のロケットのバルブシステムに先行したため、
特許をめぐる帝国重工との丁々発止が始まります。
ところで現実のビジネスでは、佃が開発したバルブを特許出願すべきか、又は、
一般に知られない営業秘密として秘匿すべきか検討課題になりそうです。もし佃がこのバルブを汎用エンジンに転用したら、
競合他社に分解されて丸裸にされたでしょう。
もし特許がなければ帝国重工からのオファーもないし、機械的に動作するバルブシステムは普通に見てブラックボックス化し難いので、
特許出願は正解でしょう。
しかし、仮にブラックボックス化できるならば、秘密を守って競争力を長期間保つ選択肢が生れます。
その一方、ロケットのバルブ周りのインターフェースの方を特許化して、帝国重工からライセンス料をさらに稼げるかもしれません。
もう一つ注意すべきは、帝国重工が佃のバルブを採用したのは特許だけが理由ではないことです。
彼らのプロジェクトには厳しい期限があり、代替品を開発する時間がなかったのです。
特許の優位性だけでは、佃はあそこまで強気に出られません。時間的制約との合わせ技がカギでした。
最後に特許の使い方です。小説では、佃がバルブを帝国重工以外に売らないという契約になるようです。
しかし、一社だけとの取引はリスクが大きく、佃は他の顧客にも売ることができる自由を持ちたいところです。
帝国重工は基幹部品の自社生産にこだわる垂直統合型の大企業ですが、オープン・イノベーションが主流の今日では少数派に思えます。
これらの知財戦略は、小説のなかでは大して面白い筋書きにならないと思いますが、現実ビジネスではそれぞれ面白い展開を開を期待できます。
まだ、未読であれば、一読されることをお勧めします。
省エネ(第7回)「緑化による工場、ビルの省エネ」 技術士(建設部門) 横井 ツヤ子
近年行われている緑化の効用は、①断熱効果による省エネ効果、②癒し、リラックス効果による生理・心理的効果、
③景観を高める効果、④防火・防災効果があり、多面的です。
このうち省エネ効果を目的とした緑化には、屋上緑化と壁面緑化の二つのやり方があります。
1、屋上緑化
工場、ビルの屋上を緑化することで、夏場の室温上昇抑制効果、冬場の保温効果が見込めます。
工場の屋根は鉄板平屋根構造が多く、夏季には60~80℃にもなります。
この屋根を緑化した場合30~40℃程度に収まると実験データが報告しています。
これは工場内室温環境の大きな改善につながります。
緑化工法も最近の技術は軽量化、簡易化が進んでおり、工場の凹凸のある屋根の溝をちょうどプランターのように
見立てて緑化することができるようになっています。
2、壁面緑化
東京都農林総合研究センターの実験によると、壁面緑化は屋上緑化よりも節電効果が高いという結果が出ています。
方法としては、①下から植物を登はんさせる方法、②植物を上から垂れさがらせる方法、
③壁面に緑化用のコンテナや緑化パネルを取り付ける植栽基盤造成型があります。
この夏よく登場した「緑のカーテン」は、つる性植物が窓を覆うように繁茂させたもので壁面緑化①の方法に該当します。
緑化の最新情報としては、東京の表玄関に出来た新丸ビル屋上に太陽ソーラーパネルが設置され、その周りが屋上緑化されました。
また6~7階基層部にも樹木が植えられ一種の壁面緑化となっています。
設計者によりますと、実現可能性が高く汎用性が見込め、奇をてらわない省エネ、環境対策として設計したそうです。
最新の都心の建築物に省エネ緑化が活かされた事例です。
また環境省は9月「屋上緑化による空調の省エネ」をオフセット・クレジット制度に新たに追加しました。
工場やオフィスビルなどの建築物の屋上緑化を行い冷暖房にかかる空調負荷の低減を図ることを目指したものです。
企業が中・長期的な省エネ対策を考えたとき、多面的な効用を持つ緑化は省エネ対策として今後ますます重要なキーワードになると思われます。
お役立ち最新情報
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メニュー | 日 時 | 内 容 |
平成23年度セミナー (18:00?20:00) 場所:川崎市産業振興財団 |
10月12日(水) | 「企業経営に欠かせない!リスクマネジメント」 技術士 服部昌幸、技術士 黒田雄一 | 11月 9日(水) | リスクマネジメント2 技術士 磯村正義、技術士 北本達治 |
12月21日(水) | 省エネルギー 技術士 佐野芳昭、技術士 岡野庄太郎 |
1月11日(水) | 技術経営 技術士 久田見篤、技術士 渡辺春夫 |
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