「商品開発」と「強みコア」
「商品開発」
あなたの会社の事業の柱は何でしょう? その柱の事業が会社を支える事業として長期にわたり継続すると考えられるでしょうか? 次の事業の柱をどうやって見つけ、どう育てて行くかは、常に会社経営の大きな課題です。事業遂行には利益の源泉となる「売り物」が必要です。 このコラムのタイトル「商品開発」の商品は、広くあなたの会社の事業を支える「売り物」と捉えてください。 一般消費者に売るもの、これは最も典型的な商品です。機械加工会社で得意の加工技術、ソフトウエア会社ならネットワーク、 アプリケーションなどの得意分野のソフト、これらも商品です。当然のことながら、会社の事業を支えるのはあなたの会社のこれら商品です。 その商品力を支える強み、これを「強みコア」と呼びます。あなたの会社の「強みコア」が何なのか一度見直してみませんか?
「強みコア」
製造業では代表的な「強みコア」は独自技術ですが、以下のような種々の力が「強みコア」になります。
1.独自のコア技術
技術シーズ型の会社では自社が持つ独自の技術、または先行開発技術は事業収益に大きく貢献する可能性が高い最強の「強みコア」です。 具体的には次のような項目が挙げられます。
- 独自の強力な技術で他の追従を許さないもの
- 強力な基本特許を有するもの
- 既存事業で長年培ってきたノウ・ハウなどで独自の強みをもつもの
- 独自の生産技術を有し他の追従が困難なもの
- 新領域で先行開発してきたもの
など
2.幅広い基礎技術力(要素技術、設計能力、生産技術など)
事業を継続して行くには既存の商品をベースに展開する商品の開発も重要な課題です。 既存の技術を発展させた新技術、あるいは商品企画で提案されたアイデアを実現するためには設計、 生産などの幅広い基礎技術力が「強みコア」となります。
3.業界情報の迅速、且つ正確な入手ネットワーク
社会動向、同業他社の情報、ワールドワイドな業界動向情報、お客様の声(VOC)情報、 これらは事業戦略、商品戦略立案、個々の商品企画に欠かせません。その強い情報入手能力は重要な「強みコア」となります。
4.コア技術、独自の「強みコア」を有する他社との密接な協力ネットワーク
自社に保有しない技術、販売チャネルなどが必要になったとき、これらに強みを有する会社とのネットワークなどを有していればこれも強力な「強みコア」です。 これらを実行するときには種々のレベルのアライアンス戦略が有効です。 これには部品供給レベルから、商品共同開発、ライセンス取得、企業買収まで種々のアライアンスのレベルがあります。 事業に必要な「コア」だが自社で保有しない場合には、逆に「弱みホール」となってしまいます。 このような場合には弱みを強みに変えるアライアンス作戦が有効です。 他に以下のような事項も事業戦略に役立つ「強みコア」となります。
5.強いブランド、デザイン力
6.社員、技術者の豊かな発想力
7.柔軟で強力な組織能力 など
参考:社団法人日本技術士会プロジェクトチーム技術図書刊行会編
「技術コンサルティングハンドブック」
基礎編3章-技術開発コンサルティング(前田知久) オーム社(2009)
事業遂行のコアとして何が必要かをもう一度洗い出し、自社でその何を保有し、何が不足しているのか、その強化作戦を考えてみませんか? かわさき技術士クラブには技術と経営共に経験豊富な技術士がそろっております。きっとあなたの会社の技術経営に有用な協力ができます。 ご相談(ご連絡)ください。
お問い合せ先:前田 知久(技術士 経営工学部門)maedas@nifty.com