中小企業技術支援ニュース第100号(2025/3)
目次
・ 技術支援ニュース第100号の発刊にあたって
・ 当NPOの提供情報について
・ お役立ち最新情報
「技術支援ニュース第100号の発刊にあたって」 会長 技術士(機械部門) 磯村 正義
本号で「かわさき中小企業技術支援ニュース」が第100号を迎えました。
振り返ってみると、第1号は2006年9月、NPO法人かわさき技術士センターの前身である、かわさき技術士クラブが発行し、 初代代表幹事武藤文男氏の寄稿では、「川崎市産業振興財団に協力し、 種々の技術コンサルティングを通じて中小企業の皆様の発展成長を図り、 地域経済活性化に貢献すること」と謳われています。 また、2012年6月にNPO法人となり、第36号(2012年8月)では、前会長の肥沼徳寿氏が 「中小企業の支援や研究会の実施等の活動を通じて科学技術の振興と経済活動の活性化に寄与する」と決意を述べました。 さらに、2018年5月に特定非営利活動法人工コかわさきフロンティアと合併し、第71号(2018年6月)では、 「環境保全活動を当センターに取り込む」ことを表明しております。
このように長い歴史の中で、個々の中小企業に対する技術支援や教育、川崎市の入札業務等、多くの活動を行って参りましたが、 当初の狙い通りの活動ができているのかというと、まだまだ十分でないという思いを致しております。
翻って昨今の社会状況を見ると、かつて日本の一人当たりGDP(IMF統計)は2000年に世界2位を誇っていたのに、 2023年には34位に後退しています。為替の影響もありますが、全体として日本の経済は相対的に低下していると言えるでしょう。 その理由は複合的ですが、地球温暖化対応、AI、自動運転等、大きな変革に十分対応できていないという面はあると思います。 これに対する強化は必須であり、そのためには高齢化対応、規制緩和、教育、DX等々、解決しなければいけない課題は山積です。
一方で日本が得意としていた「ものづくり」の競争力は本当に落ちているのでしょうか。 私は、多種多様な技術の「すり合わせ」、現場における改善の積み重ね等の日本が得意とする技術は、今もしっかり生きていると思っています。 困難な状況にあっても、確実に生産性を向上している事例を数多く知っていますし、 むしろ問題は、地道な「ものづくり」の努力よりも目先の利益を追求した一部の経営ではないかと思っています。
最近の自動車あるいは鉄鋼メーカーの品質に関する不祥事は、ある意味では、自分たちの「ものづくり」の技術を過信していることから起きたのではないかと思います。 彼らは法規制や顧客との契約を順守しなくても自分たちのやり方に問題はないのと思っていたのでしょう。もちろんこれは許されることではありませんが、 これらの不正が原因で起きた事故を私は知りません。
これから乗り越えていかなければならない課題は限りなくあります。しかしその課題を地道に解決していったのが日本の「ものづくり」の強さだったと思います。 そしてこの「ものづくり」の技術を支えているのは、企業数の99.7%占める中小企業の方々の努力なのです。
かわさき技術士センターは微力ながら、もっとこれら中小企業のお役にたちたいと考えています。 そのためには、組織的にももっと若返り、私たち自身の技術力ももっと強化する必要があると考えています。 関係各位の従来にも増してのご指導、ご鞭撻をお願い致します。
「当NPOの提供情報について」 事務局長 技術士(電気電子部門) 佐野 芳昭

川崎市産業振興財団主査の技術セミナーを長年担当実施し、技術情報や支援情報などを企業の皆様へ提供しています。 技術セミナーの開催形態については、いろいろな変遷があったのですが、2012年のNPO開始以来、累計64テーマでのセミナーを実施してきました。 実施しました内容について、おおまかな分類を図1に示します。
経営やものづくり活動に関連する内容が半数を占めていますが、記事の内容によっては他の項目にも割り振っています。 科学技術の内容は、技術動向や技術解説が主なのですが、3D-CADの設計応用などの人材育成につながる講座も多々ありました。 特に、環境・省エネ関係や人材育成関係に力をいれてきました。 下記に掲載の昨年の技術セミナーでは、事例を交えた実践的な内容で実施し、受講者のアンケートでは好評であったようです。
一方、支援ニュースの記事に関連して、93号で技術情報や企業支援に必要と思われるキーワードの分析がありましたが、図1とおなじ分類でまとめたものを図2に示します。 経営・ものづくり関連の内容がほぼ半数で、技術セミナーと似通った傾向です。
「2024年版ものづくり白書」によれば、「人材育成」と「デジタル技術の活用」が進んだ企業は、「売上総額を伸ばしている割合が多い」ことや、「営業利益の向上や、従業員への処遇改善が進んでいる」と紹介されています。
(独)労働政策研究・研修機構のpress release で、 (https://www.jil.go.jp/press/documents/20240529.pdf) 「6割超の企業が従業員の育成・能力開発による経営面・人事面の効果を実感」として、 「技術水準や品質の向上」、「能力・スキルの底上げ」、「昇給や賞与への反映」といった経営面・人事面の効果を実感といった調査が報告されています。
かわさき中小企業技術ニュースは、限られた文字数なのですが、皆様のお役に立つ情報発信を続けて参りますので、これからもよろしくお願いいたします。
お役立ち最新情報
[技術士によるセミナー] (現場経験に基づくホットな内容)
◇2024年度「KIIP公益財団法人川崎市産業振興財団」との共催(技術)セミナー開催のご報告

今年度は下記の2テーマについての開催を終了致しました。
第1回:「事例で学ぶ省エネ対策」~価格高騰、SDGs すべて対応します」 10月16日(水)
第2回:「事例を基にして売れる商品開発のコツを易しく解説します」 ~技術マーケティングの活用~ 11月20日(水)
時間帯:14:00~16:00/講義90分、質問30分
今後とも多くの皆様に、ご参加・ご活用頂きたく、よろしくお願いいたします。
[支援事業] (申込先:川崎市中小企業サポートセンター)
ワンデイ・コンサルティング (無料) | 原則随時です | 企業に出向き緊急の課題を支援します。最大3回可能です。 |
専門家派遣 (有料) | 募集があります | 費用は半額企業負担です。課題に対し最大12回の継続支援。 |