中小企業技術支援ニュース第104号(2026/2)

目次
・ 自動車用の全固体電池、半固体電池
・ 川崎CNブランドは脱炭素経営による生産改革モデル
・ お役立ち最新情報

 十年前のNEDOの報告を見ますと、本年2026年に、生産される電気自動車(EV)の6割以上が、全固体二次電池(All-Solid-State Battery:ASSB)のEVになる予測になっています。ご存知のように、今現在、ASSBのEVは、工業生産されていません。トヨタや日産などの自動車メーカーは2027~2028年の市場投入を目指して進めていると報道されていますが、現時点で明確ではありません。
 上記のように実用化が遅れに遅れているASSBとは、電池の電解質(イオンを透過する材料)だけ、現状の液体電解液から固体電解質に変えた電池です。小型電子部品とみなされる「薄膜型」では、それなりに高い完成度のあるASSBが実用化されています。これに対して、EVに必要な大型の「バルク型」の実用化には、以下のような課題が挙げられます。

① 固体同士は密着しにくい: 液体電解質は電極の隙間に自然に入り込み、導通がとれますが、固体電解質は、そうはいきません。固体同志は全面的にピタリと接合することはありません。高圧で押し固めても、常に微小な隙間が存在します。これが界面抵抗を大きくします。そこで、数百〜数千気圧と云われる高圧力も必要です。これが、設備を含め、生産を難しくしています。

② 材料の膨張・収縮に伴う劣化: 電極材料は、充電・放電に伴い、イオンを吸収・放出します。これに対応して、材料の体積が膨張と収縮を行います。押し固められた材料に、膨張・収縮の繰返しの歪が蓄積し、固体同志の接触部では、隙間が発生し、材料では亀裂が発生し、イオンの通り道が断たれます。EVでは、数千回の体積変化に耐える必要があり、この耐久性の達成が大きな課題となっています。

③ 固体電解質の使用量が多い: 適切な電池内の導電性を得るのに必要な固体電解質の使用量は、液系電解質に比べ、5〜20倍必要とされています。これは、電池設計上の大きな課題ですが、さらに、価格も課題です。硫化物系電解質は、高純度・高性能な材料が必要で、合成プロセスも複雑であることより、液系電解質に比較し、現状で10〜100倍 と高価な状況です。

 以上のように、EVに必要な大型の「バルク型」のASSBは難易度が桁違いに高いのですが、ここに数%程の少量の電解液を添加すると、実用化の難易度が大きく低下します。これは「全固体」ならぬ、逆もどり技術で、「半固体」二次電池(Semi-Solid-State Battery:SSSB)といいます。電解液は少量で、事故で漏れ出すような量ではなく、安全性は十分にあります。完璧なASSBを目指すのは、ひとまずおいて、まずは、SSSBのステップで実用化されるのではないかという予測もあります。実際に検討の進んでいるASSBでも、微量の液体が含まれているものもあるようです。
 固体電解質を用いた実用化EV電池が、ASSBなのかSSSBなのか、両者の明確な液体含有量の境界値はありませんが、最終的に、どの程度の含有量で実用化されるのか興味のあるところです。

1.川崎CNブランドの先見性
 川崎CNブランド(注1)の受賞内容を見ると、ライフサイクルを通じサプライチェーンのプロセスを、イノベーションを基に改革し、構成企業の脱炭素と生産性向上によりCNを達成する。結果として政府のGX(注2)政策の先駆けとなった。

2.川崎CNブランドからGXへ 
 CNは脱炭素の最終目標であり、GXは脱炭素と生産性向上を進める経営手法である。
 GXの多方面な活動分野は、サプライチェーンのCO2の排出要因は下図に示されている。
GX技術はデジタル・AI、ヒートポンプ、ペロブスカイト太陽電池、リサイクルエネルギー、建物の省エネ(ZEB)等多岐の技術利用がある。川崎市の産業構造の変化は重厚長大産業の縮小、IT産業の成長、川崎液化水素サプライチェーン設立等大きい。さらに、気候変動・異常気象が国民生活、企業活動に影響がある。したっがって、GXに関わる事項は、川崎CNブランドが示すようにGXは多方面に多くのビジネスチャンスとなる。

3.GXの政府のミッションと支援
 エネルギー基本政策のGXとして、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性がある。また、企業へのGX支援として省エネ支援パッケージ、補助金等のGX支援がある。近年、サプライチェーン連携枠等が追加され、川崎CNブランドの具現化である。

4. 中小規模事業者がGXを実現するステップ
 ①第一に中小規模事業者はGXを省エネから始める。省エネ活動では、省エネ診断、エネルギーマネジメントシステム(EMS)導入等があり、人材育成を含め川崎市の支援施策の利用が出来る。②次に、省エネ活動の結果、設備を含むプロセス改善を、補助金を利用して実施する。③仕上げとして、サプライチェーン内の上流、下流の企業とのビジネス連携、改善を進める。上下企業には生産効率、省エネになる提案を行う。特に、下流の企業には連携製品を提供し競合他社との差別化を図る。連携製品の販売により新規市場、売上増大企業もある。GXの多方面さは産業構造の変化、気候変動等対応へイノベーションに基づく新規分野に進出の絶好の機会である。川崎CNブランドに糸口を見つけることも一つの例である。

5.GXを強力に支援する伴走支援:
 企業がGXに取り組むのは大変であり、伴走支援を歓迎する要望が強い。伴走支援は経営観点から市場、商品、プロセス等を改革するが総合判断の目利きが必要である。伴走支援者には目利き能力を有する技術士、中小企業診断士、エネルギー管理士の三士資格保持者の資質が最適である。もしくは協調が必要である。

注1.川崎CNブランド:川崎CNブランドは、川崎市等で構成する川崎CNブランド等推進協議会が川崎発の製品技術等について、原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体でのCO₂削減への貢献を評価し、川崎CNブランドとして認定するものである。
注2.GX :GX(グリーン・トランスフォーメーション)は、エネルギーの安定供給・経済成長・排出削減の同時実現を目指す政府施策である。事業者にとっては脱炭素経営による経営改革である。

[支援事業] (申込先:川崎市中小企業サポートセンター)
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