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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.24


2010年 8月号


発行責任 かわさき技術士クラブ

「就任ごあいさつ」     川崎市産業振興財団  事務局長 御前 大

 かわさき技術士クラブの皆様方には、窓口相談や専門家派遣事業、起業家を発掘する「かわさき起業家オーディション」などに 2002年3月のクラブ設立以来、大変なご協力をいただいております。
 私は、4月から財団の事務局長として勤めさせていただくことになりました。 02年、03年度にも財団に川崎市から派遣され勤めました。 当時、財団は88年の設立以来、第2の創業期ともいえる時期を迎えておりました。 国を挙げてのベンチャー企業の創業支援の中で財団は、中小企業支援法や新事業創出促進法に基づき 起業家や中小企業等を支援する中核的支援機関としての体制を整え、各種事業を積極的に展開いたしました。 このようなときに皆様方に財団の応援団としてクラブを立ち上げていただきました。 本当に感謝しております。
 いま財団は第3の創業期を迎えております。一つは4月から6名の川崎市職員が全て市に戻り、 今後は財団プロパーの職員中心にこれらの事業を推進していくこと、また来年度公益法人改革の一環として、 新たに公益財団法人へ移行すべく手続きを進めているところです。このように財団の転換期でもございます。 クラブの皆様方にはより一層のご協力をいただかなければなりません。今後ともよろしくお願い申し上げます。

企業経営とIT活用       技術士(情報工学部門) 久田見 篤

 企業の経営者にとってITとの付き合い方は悩ましい事項のようです。 IT活用は重要だと感じるものの、次々と新しい言葉が表れる近づき難い世界の様に感じます。 その結果、ITについては世の中に遅れなければ良いと考え、社内の担当者に全てを任せたり 外部のIT業者に全てを任せてしまうなどしてしまい、自社の情報化戦略を明確に描けていない場合もあるようです。
 本来、企業経営における情報化戦略とは、技術力やブランド力などの知的資産の活用、顧客情報収集力や企業情報発信力の強化、 事務管理部門や製造部門での生産性の向上など、企業としての情報資産の明確化や情報の活用についての戦略を定めることです。 これは企業が持つ知的資産を活かし生産性の向上を目指す経営戦略そのものであり、 経営者自らが取り組まなければならない課題だと言えます。 その中でIT活用は情報化戦略を推進するための手段に過ぎず中身については社内や社外の専門家に任せれば良いことですが、 ITを活用することで経営戦略の中でどういう効果を得ようとするのかについては、 経営者が明確なビジョンを持っておくことが重要だと言えます。
 経済産業省の「IT経営ポータルサイト」では、IT活用の仕組みの中で次の7つの機能を挙げています。 ①経営戦略とIT戦略の融合、②現状の可視化による業務改革の推進とITの活用による新ビジネスモデルの創出ビジネス領域の拡大、 ③標準化された安定的なIT基盤の構築、④ITマネジメント体制の確立、⑤IT投資評価の仕組みと実践、 ⑥IT活用に関する人材育成、⑦ITに起因するリスクへの対応。 また同サイトでは「IT経営」に係わる様々な情報を得ることができます。これらを参考に自社のIT活用状況を総点検し、 経営戦略と情報化戦略の繋がりを再確認してみることは企業経営におけるIT活用を見直す良い機会になると思います。
 実際に情報化戦略を定めてIT活用に取り組もうとすると、組織改革、オペレーション改良、 ITシステム化などの様々な要素が関係するため、情報化戦略の策定自体が簡単ではない場合もありますが、 その場合には総合力を備えた外部の専門家の活用を検討していただくのも良いと思います。
  参考:経産省 <http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/it_keiei/about/idea/function.html>

MOT 第8回  営業秘密管理について   技術士(生物工学部門) 久保 康弘

 今、「知的資産経営」が必要とされています。企業の競争力の源泉となり、企業の強みとなる資産を総称して「知的資産」と定義しています。 企業に固有の知的資産を認識させて、それらを有効に組み合わせて活用していくことを通じ、 収益につなげていく経営手法企業が持つ見えざる強みを明確に第三者にわかる形にして、企業価値を向上させ資金調達や事業提携など、 ビジネスを推進するというものです。 ただし、必ずしも企業の強みを全て公開すればよいものではないことは読者の皆様もご存知のとおりで、 特許や技術標準化等を用いた戦略的な「オープン化」(ビデオデッキでVHSがβを席巻したのがいい例です)と、 営業秘密として管理する「ブラックボックス化」(コカコーラの原液のレシピがいい例です)を使い分けることが求められています。
 自社が保有する画期的/先端的な技術は、知財権等の取得による権利化か、秘匿化するかを判断する必要があります。 特許等の権利は公開の代償に一定期間の独占権付与という特典がありますが、期間が経過すれば独占権は失われます。 一方、営業秘密は非公知のままであれば範囲期間に制限はありませんし、適切な手続きを施せば先使用権の確保も可能です。 ただし、公の場に一度でも漏洩したら、公知となってしまうので、如何に秘密情報を管理するかが重要になります。
 技術の権利化・秘匿化を速やかに決定し、それらをうまく交えた、戦略的経営が重要です。他社が追いつけない技術はあえて秘匿化し、 先行者の優位を保つことで持続的な収益を生み出すことが可能となる場合もあります。 また、公開(権利化)と秘匿の組み合わせを適切に行うことにより、市場におけるデファクトスタンダード(事実上の標準化)の 確保を目指すことも持続的な収益につながります。中小企業がそれらをどう実施すればよいかを経済産業省では「営業秘密管理指針」の 形にまとめ公開しております。川崎市中小企業サポートセンターは、技術相談や経営相談などを通じて皆さまに支援を行っています。 かわさき技術士クラブもあわせまして、ご活用いただければ幸いです。
  参考:営業秘密管理指針:http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html

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2010年 8月 1日 発行 発行責任者: かわさき技術士クラブ 代表幹事 肥沼徳寿
E-mail: t_koinuma@mtf.biglobe.ne.jp
かわさき技術士クラブURL:http://gijyutusi-club.sakura.ne.jp/

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