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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.19


2009年10月号


発行責任 かわさき技術士クラブ

コラム 「かわさき技術士クラブの役割」 代表幹事 肥沼 徳寿

 2009年は激動の年となりました。 私達はそのような変化の中にあって「技術」をベースに中小事業者の中に入り込み現実と共に将来についても考え支援したいと考えています。 私達の技術が皆様にとって役に立つためには専門家として幅広い識見と現場体験が必須です。 評論家は百害あって一利なし。
 川崎市をはじめとする中小企業の発展のため、どのように小さいことでも、又どのように煩わしいことでも真摯に取組みます。 今世の中で最も大きな課題は「環境改善」と考えられますが、それらに対しても「技術」の占める役割は我々の想像以上に大きいのではないでしょうか。 ここで強調したいのはかつての公害も人々の意識と共に技術によって改善されたことが明らかです。 例として環境改善で今話題の白熱電球――>蛍光灯――>LEDの変遷を見ますと50年単位の変革がなされています。 「技術革新」は電気自動車をはじめ今まさにいろいろな分野で起こりつつあります。 私たちもその流れに沿って世の中に役立ちたいと考えます。

MOT 第3回 「新製品開発(その1)」  技術士(化学部門) 佐々木 久美

 いきなりで恐縮ですが、去る9月16日付けで鳩山内閣が誕生致しました。日本経済の立て直しに全力で立ち向かってほしいものです。 さて、私達にとって、新内閣が従来と大きく異なる点が一つあります。それは、初の「本格的理系内閣」であるということです。 鳩山総理はいうに及ばず、菅副総理も東工大卒で弁理士資格もお持ちです、加えて平野官房長官も中央大理工学部から旧松下電器、 という風に、内閣の主要なポストが理系キャリアを有する人間で占められるという事態は記憶にありません。 技術が判って、しかもグローバルな視点を有する、「いい意味での理系人間」こそが政治のみならず企業経営においても次代を担う人材であるべき、 と考えますが如何でしょうか。
 翻って、我が国の製造業の現状を見ますと、優秀な企業の殆どは戦後10年以内に設立され、 得意とする効率的な規格大量生産に基づくコスト低減を背景に成長してきた側面がある、とされています。 逆に、最近では世界市場に企画力豊かな製品を掲げて活躍する開発型企業の台頭が少ない、という問題点も指摘されています。 世界的に急速に進展してきた情報化社会では、企業活動の対象は多様化した顧客ニーズとセグメント化された市場にあるという状況を背景に、 国内の製造業は大小に関わらず、今後も生き残りをかけて新製品・新技術開発に取り組んでいかなければならないのは申すまでもありません。
 その際最も肝要なのは、研究者や技術者の能力を如何に引き出すか、また組織としての開発行為を如何に体質化するかであり、 経営者による単なる思いつきによる開発では「運任せ」にしかならないでしょう。 さて、この様な環境下で新たなビジネスチャンス獲得に向けて、中堅中小企業における新製品開発テーマは如何に設定すべきか、 について少し考えてみましょう。 一般に、開発テーマを設定するためのアプローチ方法として、市場ニーズの中から自社で事業化可能なテーマを発掘する 「市場指向型」(マーケット・イン)と、 新規な又は自社の保有技術をシーズとして新たな事業展開が可能かどうかを探索する「技術指向型」(プロダクト・アウト)があります 。一般には、前者の方が打率が高いとされていますが、大きな成長を狙ったり異分野に進出する場合には、後者のアプローチ方法も必要になるでしょう。 それでは、具体的に開発テーマ設定はどう取り組んだらよいのか、その着眼点については次の機会に考察してみたいと思います。

省エネルギー第3回「環境経営は省エネ、地球温暖化防止へ」 技術士(経営工学、総合技術管理部門) 田中 弘一

 温暖化ガスの排出量が、1990年比25%削減が視野に入ってきた今日、省エネへの取組は企業のエネルギーコストを削減し 企業を救うとともに地球温暖化防止に貢献することが責務となってきました。
 現在の環境経営(環境への取組)と今後の方向性、それに対処するにはどうすればよいかについて以下に所見を述べます。
 経営環境を分析するために省エネとISOのマネジメントシステムを比較すると次のようになります。

マネジメント型 特徴、メリット 対象 重点 手法
ISO9001 製品・サービスの世界へのパスポート 製造・販売・サービスプロセス 品質向上、経営向上 QC/QA(品質管理/品質保証)
ISO14001 行政、社会のPR、審査費用が高額 紙、ごみ、電気 法律重視 測定
省エネ(地球温暖化防止) 自発的、経費削減等の経営改善、排出量の売却 製造・販売・サービスプロセス、経営 企業努力による経営効果 経営手法(設備投資、生産、運用、保守)、QC/QA、測定

 上の表を基にした比較で(詳細は省きますが)、例として複合施設ビル経営のA社は表の「省エネ」を採用した場合 年間3,000万円以上の出費となりますが環境経営については「省エネ」に総合的に軍配が上がります。 省エネの経営改善は、経営手法、QC/QA や技術など幅広い知識が要求され、さらに、ISO9001 と ISO 14001 の統合と省エネに重点を置いたマネジメントシステムが要望されます。
 以上を受け、環境経営の流れは、省エネに向かっています。
 世界的には、ISO 9001とISO 14001の整合性のあるISO 50001エネルギーマネジメントシステムが発行予定です。 また、東京都は総量削減義務と排出量取引制度のガイドラインを2009年6月に発行し、検証主任者の試験など積極的に取組み、 企業の対応を求めています。では、省エネ(地球温暖化防止)に対処するにはどうすれば良いか、次の5点の提案を行います。
1.経営者は地球温暖化防止を経営方針とし、企業宣言を行い、積極姿勢を示す。 2.省エネ(地球温暖化防止)のための組織を作る。 3.省エネ等の支援補助金を活用し、省エネ設備、プロセスを導入する。 4.業務プロセスを見直し、経営改善を図り、改善による排出量を売却する。 5.幅広い知識の技術士、エネルギー管理士、中小企業診断士をコンサルに起用する。

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2009年10月01日 発行 発行責任者:かわさき技術士クラブ 代表幹事 肥沼徳寿
E-mail: t_koinuma@mtf.biglobe.ne.jp

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